層雲峡は大雪山から石狩川にかけていくつもの滝がかかる渓谷で温泉地でもある。
2010年冬に初めて訪れた際,100m超の巨大な氷瀑がいくつもかかる景観に感銘を受けた。
エリア最大の銀河の滝(180m)は観光用駐車場からわずか20分程度のところにある。
2011年に,大見さんとJohnとシングルピッチの滝には登ったが,マルチピッチの滝は手つかずのままだった。
 昨年、ふとしたことで大阪ぽっぽ会のTSさんと数年ぶりに連絡をとった。
 私が何気なく口にした層雲峡に強い関心を示されたので,南沢大滝で2回の練習を挟み,チャレンジすることになった。
 宿泊した温泉から,銀河の滝駐車場までは車で10分以内。
 毎日活動終了後は温泉が楽しめ,翌日の装備をゆっくり整えることが出来る。
 早朝の行動を意識して,今回は素泊まりのホテルを探した(1泊6千円弱)。
 銀河の滝,錦糸の滝は十分に良いコンディションだった。
 現地のクライマーの話では,通常3月1週ぐらいでシーズンは終わりとのことだった。
 氷の質以外に水位が上がって,石狩川の渡渉が困難になることも一因らしい。
2011年に現地のクライマーが渡渉用にゴム長靴を履いているのを見て,我々もそれに倣った。
 長靴は高さ35cm以上,余裕を見るなら40cm程度が望ましい。
 黒岳はロープウェイで5合目、リフトで7合目まで行くことができる。
ロープウェイ駅ではトレッキングポール、スノーシュー、グローブを500円でレンタルできるが、原則7合目までの使用となっている(スキーのレンタルもあり)。
 山行の写真はTSさんのブログで閲覧できます。
toyotakayamajinsei.blog50.fc2.com

 3月14日(金) 北海道へ、参加者:KT、TS
 夕方関西空港発のピーチで札幌へ、JRで旭川まで移動して宿泊。12時過ぎ就寝。
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3月15日(土) 偵察、試登、KT、TS
レンタカーで層雲峡に移動、10時前に到着。
ホテルで着替えて、銀河の滝(170m)を2ピッチ目まで上り、確保支点,滝の状態を偵察した。
その後,同エリアの他の滝を偵察後、ホテルへチェックイン。
この日銀河の滝は誰も取りついていなかった。
 夕方、上川駅でKT幸をピックアップ。
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3月16日(日) 黒岳スノーハイク、参加者:KT,幸、TS
 前回,前々回,点検期間で利用できなかった黒岳ロープウェイとリフトを利用し、黒岳(1984m)でスノーハイクを堪能した。
スノーシューで9合目までのハイクを楽しんだが、午後より低気圧の接近が予報されていたため、11時を目処に引き返した。
また頂上が近づくにつれ、雪質が硬くなってきたため、頂上に行く場合はアイゼンが妥当と思われた。
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3月17日(月) 銀河の滝登攀、参加者:KT、TS
 午前4時起床、5時出発、駐車場で明るくなるのを待って渡渉、6時半登攀開始。
1ピッチ目:60~70度30m程度、さらに5mほど雪壁を登って終了。
2ピッチ目:完全な雪壁のピッチ40m程度、終了点は残置のアバラコフ。
ここまでは偵察通りで順調。前日の予報は晴れのはずだったがこのころから少し雪と風が強まる。
 時折上部から雪が流れてくるが,パウダースノーの為,それほど圧力は感じなかった。
ただし時折氷塊が混じっていているので注意が必要。
3ピッチ目:緩傾斜から始まるが、部分的に70~80度。45mほど登った所で確保支点が見えたのでピッチを切る。途中終了点付近は雪が深くスクリューが打てずランナウト気味だったが,何とかたどり着いた小さなチムニーに潜り込みスクリュー2本でセルフビレイ。
4ピッチ目:前ピッチ同様、部分的に70~80度を含む緩傾斜45m。落ち口直前の傾斜が強くなる手前にハーケン2本が打ってあり,ここで終了。
5ピッチ目:落ち口直下、若干形状が複雑な15m程度。ここも最大で80度程度。氷が薄い個所があり,流水が透けて見えて緊張した。スクリュー,バイルが打ち込める厚みのあるところを慎重に探しながら,少しずつ高度を稼ぎ,10時半頃終了点へ到着。
 下降:残置支点を探しながら5ピッチの懸垂下降。基部へ到着(1時間程度)。
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3月18日(火) 帰宅
 午前8時層雲峡発。
 予約した切符より2時間早い列車に乗り、札幌へ。
サッポロビール園で最後の祝杯を上げ、15:40発の空港行きの列車に乗る。
18:15発Peach大阪行は1時間以上出発が遅延したが,関西空港では西宮行のリムジンバス最終22:20にはかろうじて間に合った。
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総括
 今回は早朝に出発し,先行も後続もいなかったため,待ち時間もなく4時間で終了できた。
またTSさんとスタカットで登ってもらったので,時間だけでなく,プレッシャー・緊張感などの負担も大幅に軽減できた。
セカンドに徹する場合でもスクリューによるセルフビレイが必要になることもあるので,スクリューの設置,回収などができることは最低条件として,簡単なルートでならリードできるくらいの総合力があったほうが望ましいと考えられた。

 以上 

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